2022年7月29日に発売されたNintendo Switch用ソフト『Xenoblade3(ゼノブレイド3)』を先日ようやくクリアしました。プレイ時間は100時間ちょっと。この記事では、私がゼノブレイド3を遊んだ中で、音楽について思った事に焦点を当てて感想を書いていこうと思います。私は『Xenoblade Definitive Edition』『Xenoblade2』をプレイ済みのプレイヤーとなります。
ネガティブな内容も含まれます。また、ゲームに関するネタバレには全く配慮していませんのでご注意ください。
- ゼノブレイド3の音楽に感じた魅力
- 過去作の曲アレンジが素晴らしい!
- メニュー専用BGMがフィールド曲の視聴を妨害していた
- チェインアタックのBGMが戦闘曲の印象を弱くしていた
- 感動シーンで流れるBGMの使い回し感が強かった
- BGMが合ってないように感じる場面があった
- 歌詞と台詞の字幕が同時に出て混乱した
- 総括
ゼノブレイド3の音楽に感じた魅力
ゼノブレイド3の物語は、笛を使って死者を送る「おくりびと」である少年ノアと少女ミオを中心に展開されます。彼らは、世界を支配する2大国家「ケヴェス」と「アグヌス」の戦争に巻き込まれながらも、自分たちの運命を切り開こうとします。
そんな冒険を彩る音楽は、前作『Xenoblade2(ゼノブレイド2)』から引き続き光田康典さんが中心に制作されています。今作では、主人公たちの笛がテーマとなっており 、笛の音色が印象的な曲が多くあります。また、『Xenoblade』『Xenoblade2』でも楽曲を担当したACE(CHiCO&TOMOri Kudo)さん、平松建治さん、清田愛未さんなども参加しており 、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。
今作のメインテーマとも言える楽曲「おくられる命」が以下です。
BGMをご紹介しますも。「おくられる命」は、おくりびとのノアとミオが奏でる印象的な曲ですも。笛の音は優しくも物悲しい雰囲気がありますも。#ゼノブレイド3 pic.twitter.com/qH671L1QmJ
— ゼノブレイド総合 (@XenobladeJP) June 9, 2022
独立した二つのメロディが混ざり合っていく美しい楽曲。この楽曲に現れるフレーズがその他の楽曲にも散りばめられており、この曲から派生しているようで、全く表情の異なる楽曲が多数収録されています。感動的な曲、悲しい曲、優しい曲、戦闘曲であっても笛を中心に構成されている曲が多いです。
例えば、以下の「名を冠する者たち~Finale」のように激しい戦闘曲であっても冒頭から笛が使用されています。
「名を冠する者たち~Finale」は、フィールドで稀に出会う二つ名がついた「ユニークモンスター」と戦うときに流れる曲ですも。この曲を聞きながら戦えば、強敵でも立ち向かう勇気が湧き上がってきますも~!#ゼノブレイド3 pic.twitter.com/NKgR3bsLBw
— ゼノブレイド総合 (@XenobladeJP) July 5, 2022
そして、サウンドトラックの収録曲を眺めてみると、こんなに曲があったんだと驚きます。開発者インタビューによると、ゲーム音楽は140曲程度あるそうです。また、ゲーム内に登場するノアとミオの篠笛を実際に作って、その笛でレコーディングしたそうです。そして、光田さんのコメントによるとノアの笛と別のおくりびとの笛は違う笛で分けて演奏されているんだとか。手が込んでますよね!
ボーカル曲もあります。こちらは「A Step Away」というボーカル曲です。
ストーリー中では1度しか流れない超レア曲なのが惜しいですが、いい曲ですよね。ゼノブレイドシリーズはボーカル曲が聴きやすく、それでいて耳に残りやすく、何度も聴きたくなる魅力的なものが多いですよね。「A Step Away」は美しくもちょっぴり切ない感じの曲ですも。命をかけて世界の真実を探すノアたち6人の表情が浮かんでくるような気がしますも…!#ゼノブレイド3 pic.twitter.com/HyFhIROXYh
— ゼノブレイド総合 (@XenobladeJP) July 25, 2022
その他に個人的にはフィールド曲の「ミリク平原」が好きです。
「ミリク平原」は、ノアたちが旅の始まりに訪れる平原で流れる曲ですも。期待と不安が入り混じる冒険の始まりが感じられますも。この曲を聞きながら、草原を走り回りたいですも~!#ゼノブレイド3 pic.twitter.com/REKSsbmLtS
— ゼノブレイド総合 (@XenobladeJP) July 13, 2022
昼バージョンでは広大なフィールドを冒険するわくわく感を掻き立てる迫力と、美しい自然を見事に表現しているような繊細さを兼ね備えていて、フィールドBGMとして最高だと思います。夜バージョンもミリク平原の夜の静けさを音楽だけで想像させてくれます。
ゼノブレイド3の世界観が強く感じられる笛の音色で全体が統一された中、これだけたくさんの表情の違う楽曲を聴くことができるのはゼノブレイド3の魅力だと思います。
過去作の曲アレンジが素晴らしい!
その他に素晴らしいと感じた点としては、過去作の曲のアレンジがあることです。1と2の世界がストーリーに大きく関わってくることもあり、1と2の要素が多く登場するのも3の特徴ですね。
例えば、ニア登場時に2のイベントムービーで流れていた挿入歌の「Drifting Soul」のアレンジが流れました。
この辺りでは2の思い出が色々と蘇ってきて鳥肌が立ちました。
また、ニアをヒーローとしてパーティーに入れていると戦闘曲が「Drifting Soul」の戦闘曲用のアレンジに変化します。最初は「あれ?なんかBGMがいつもと違うぞ!」と思って何が起こったのかよく分からなかったんですが、盛り上がってくるとそれが「Drifting Soul」である事が分かって、「あ!ニアを入れると戦闘曲変わるのか!神仕様すぎる!」とつい興奮してしまいました。
この曲は2の曲の中でも特に印象深い曲の1つであるで、2を遊んだプレイヤーからするとそのアレンジが聴けたのは非常に嬉しいことでした。
その他にも、イノとのノポンイーター戦でも2の戦闘BGMが流れたのは胸熱でした。
メリア加入時も戦闘BGMが変わりましたが、このBGMに関してはこれ何の曲だっけ?となってしまいました。調べたらDEのDLC「つながる未来」の戦闘BGMのアレンジだったようです。私はプレイしているはずなんですが、あまり身体が覚えていませんでした。こちらは正直に言うともう少し覚えていそうな本編の曲だとテンションが上がったかもしれません。
メニュー専用BGMがフィールド曲の視聴を妨害していた
ここからは音楽面というか、どちらかというと音楽の使い方の面で気になった事を書いていきます。
今作からメニューに専用BGMが導入されました。このBGM自体は落ち着いたトーンでとても聴きやすく、長時間聴くのに適しており、メニューBGMとしては完成度の高いBGMだったように思います。
しかし、このメニュー専用BGMがある事で、フィールドのBGMを継続的に視聴することが困難になりました。メニューだけではなく、ショートカットで開ける現在のエリアマップの画面でも同様のBGMが流れます。
ゼノブレイドは探索中に何度もマップを見たくなります。その度にフィールドのBGMが中断され、メニュー専用BGMに切り替わります。マップで現在位置と周辺の未探索範囲を少しみたいだけなのにその度にフィールドBGMがぶつ切りにされてしまうのは、個人的にはかなりのストレスでした。
このBGMぶった切り問題により、私は段々とマップやメニューを開きたくないと思うようになり、最初は心地良いと感じたメニューBGMも苦手になってしまいました。
おそらくメニュー専用BGMがこのゲームで一番長く聴いていて最も印象に残っているBGMなんじゃないでしょうか。
クリアして一番印象に残っている音楽がゼノブレイドの物語を想起させるようなものではなく、メニュー画面を想起させる音楽っていうのもかなり勿体ない気がします。2の「Drafting Soul」のように物語を想起させるようなBGMが何一つ思い出せないというのが悲しかったです。次回作で3の曲のアレンジがあっても気づけないかもしれません。
メニュー専用BGMをオフにするオプションも現段階ではないようです。オフにするオプションを求める声はネット上でもちらほら散見されました。
モノリスソフトさん、アップデートでメニュー専用BGMをオフにする機能を追加していただくのは難しいでしょうか。
チェインアタックのBGMが戦闘曲の印象を弱くしていた
これもメニュー専用BGMと似た話なります。
今作のチェインアタックにも専用BGMが用意されています。
「Chain Attack」は、チェインアタックが発動すると流れる曲ですも。仲間と連携して戦略を立てながら、必殺技を決めるノアたちの姿が浮かびますも…!#ゼノブレイド3 pic.twitter.com/xg8W6VqJOd
— ゼノブレイド総合 (@XenobladeJP) July 21, 2022
このBGM自体はかっこよくて特別感もあり、チェインアタックのBGMとしては適しているとは思います。
今作のチェインアタックは今までよりじっくり時間をかけて考えて選択するような形式になっています。高いTPを継続して出しながらできるだけチェインアタックを継続し、ダメージ倍率を最大化できるよう調整しながら選択肢を選んでいく形式です。制限時間はありません。
このような形式であるため、戦闘中にプレイヤーが聞くBGMのうち、チェインアタックの専用BGMを聞いている時間はかなりの割合を占めます。特に敵にとどめを指す時にオーバーキル狙いで使うので、できるだけ経験値を貰えるよう倍率を高くしようとします。結果的に戦闘の最後に長時間チェインアタックのBGMを聴くことになります。
6話のエヌとのバトルみたいに悲壮感の強い戦闘BGMが流れていようと、チェインアタックを使ってしまうと、BGMがチェインアタックBGMに塗り替えられてしまいます。
それもあってか、結局全体を通してこのチェインアタックのBGMだけが印象に残ってしまっています。戦闘BGMもいい音楽が多いのに勿体なく感じます。
ラスボス戦ではチェインアタックで一時的に専用BGMに移り変わらないタイミングがありました。
その時に「やっぱり専用BGMない方がその戦闘固有のBGMの雰囲気味わえていいじゃん!」って心の底から思いました。ラスボス戦のために用意された専用の戦闘曲をしっかり聞けてその雰囲気を味わいながらバトルを進められました。チェインアタックは戦闘の種類に関係なく1つしかBGMが用意されていないので全て同じ印象になってしまうんですよね。
しかし、ラスボス戦も最後の方でのチェインアタックは結局お馴染みの専用BGMに切り替わってしまって、あぁ結局最後はいつものこれかぁ..という少し残念な気持ちでとどめを刺すことになりました。
物語の最後もいつも通りの雰囲気でとどめを刺せるのがむしろ好印象という人もいるとは思うので、必ずしも悪い訳ではないです。ただ、個人的には最後くらいはいつもと違う特別感のある終わり方でとどめを刺したかったという思いはありました。
戦闘の種類に応じてせっかく雰囲気のあるBGMが用意されているにも関わらず、クリア後にそれらが印象に残らないのは残念に思います。
別ゲーの話になりますが、ファイアーエムブレムヒーローズというスマホゲーでも初期の頃、自軍と敵軍のフェーズで音楽が切り替わる仕様になっていました。自軍フェーズに流れる戦闘BGMが敵軍フェーズの専用BGM切り替わって中断されてしまう。これが非常に勿体ないと感じて、ご意見を何度か送りました。1年ほど経った時にBGMを切り替えないオプションが追加されました。私以外でも元の戦闘BGMをそのまま聞きながら遊びたいと感じていた人は多かったようです。
BGMを状況によって切り替える、というのは今の状況がどういう状況なのかが聴覚でも分かる、という意味ではUXに優れていると言えるのかもしれません。特にゼノブレイドの戦闘は複雑なので、慣れないうちは確かに音楽の切り替わりによって理解を助けられたような気もします。
しかし、音楽は機能としての役割だけではありません。プレイヤーは作曲者さんがこだわって作ったその素晴らしい音楽を聴くこと自体を楽しんでいたりします。今回のメニュー専用BGMやチェインアタック専用BGMは、その音楽自体を楽しむという行為を阻害していたように思いました。
もちろん、専用BGMがあった方が良かったという声もあると思いますので、これについての賛否あって、一概に悪かったという訳ではないと思います。
チェインアタックについては、せめてボス戦だけはボス戦用に作られた戦闘BGMの雰囲気を壊さないよう、チェインアタックの専用BGMはオフで良かったんじゃないかと思いました。
感動シーンで流れるBGMの使い回し感が強かった
感動シーンで流れるBGMはメインテーマの旋律を流用して作曲されたいくつかバリエーションが用意されています。ですので、使い回し感がないように配慮されているとは思うのですが、一部のBGMは特に耳に残りやすいせいか強く使い回し感を感じてしまいました。
これの原因の1つとして、そのBGMが合っていない、違和感を覚えるイベントシーンがあった事が挙げられます。例えば、マシロ加入イベントで私はBGMに強い違和感を覚えました。マシロのコロニーミューがある島に上陸すると突然ケヴェス軍の奇襲にあってピンチに直面するマシロと行動を共にすることになります。
マシロを助けた後、マシロ達が助けてくれたお礼を言い、コロニーミューの命の火時計を壊すために協力を要請するシーンで、メインストーリーでも流れた感動BGMが会話の裏で流れます(「朝靄の中で」という曲が近かったんですが完全に一致する曲は分かりませんでした)。
このシーンは会話自動送りのムービーシーンではなく、会話手動送りのシーンです。このシーンにこの感動BGMはかなり違和感を覚えました。ここでそのBGM使う?大事なBGMを安売りしすぎていない?と。
しかも、この後、コロニーミューで待つマシロとの会話でもまたこのBGMが流れます。マシロに会う度に同じ感動BGMが流れたので、さすがに使い回し感と違和感を感じざるを得なかったです。
こういう印象的な感動BGMは、本当に大事なイベントシーンの時だけに取っておいて、もう少し特徴の薄いBGMに差し替えると印象は変わったのかもしれません。
このように、新キャラと出逢ったばかりで感情移入しにくいクエストにおいても、メインストーリーで流れる感動BGMが使い回されていた点で、使い回し感を強く感じてしまったように思います。
開発者インタビューでモノリスソフトの高橋さんと小島さんが140曲の楽曲数に対するコメントで「でもね、まだ足りないんですよ。あと15曲くらいは欲しいんです。」「異なる心情のシーンでは、同じメロディでも少し異なる曲調にしたいですし、そうなると、どうしてもバリエーションを増やしたくなります。」と話しています。
これを見て、もしかしたら、この使い回し感は楽曲のバリエーション不足が原因で起こってしまってるものなのかもしれないとも思いました。というより、今作はヒーロー毎にそれなりに大きめの加入イベントが用意されているので、多すぎるヒーローに対して楽曲バリエーションが追い付いていなかった、ということなのかもしれません。
BGMが合ってないように感じる場面があった
ゼノブレイド1と2では盛り上がるタイミングが重要な楽曲はムービーシーンでしっかり盛り上がるタイミングが調整されていたように感じました。
ゼノブレイド3でも、ムービーシーンではそういった調整されているものの、前の項目で書いたマシロ加入時のクエストのように会話手動スキップのシーンでも盛り上がるタイミングが重要な楽曲がBGMとして使われていました。なので、変なタイミングで楽曲が盛り上がってしまって、なんかBGM合ってないなぁと感じてしまうことがありました。
会話手動スキップのシーンでは、もう少し起伏の弱いBGMを採用した方がこういった違和感を避けられそうに思いました。
それとは関係なく、そもそもここで壮大な感動BGMは合ってなくない?と楽曲のチョイス自体に違和感を覚えるシーンもいくつかありました。メインストーリー上では特にBGMに違和感を覚えるシーンはなかったんですが、サブクエストではいくつかあったように思います。
ゼノブレイド3のクエストの物量は凄まじいので、それぞれに最適なBGMを採用していくというだけで凄く大変な作業ではあるとは思います。せめてメインストーリーで使われる印象的な感動BGMはサブクエストで何度も使い回さないようにできたら、こういった違和感は軽減できたのかもしれません。
歌詞と台詞の字幕が同時に出て混乱した
音楽面というより、視覚的な部分の問題になります。
エンディングでは「Where We Belong」というボーカル曲が流れます。その楽曲が流れる中、キャラクターたちは台詞を喋ります。
このとき、楽曲の歌詞が画面の右端に縦表示、台詞が画面下に同時に表示されます。
私としてはどっちを読む事に集中すればいいのか迷ってしまいました。もしかしたら、開発陣としては歌詞は見たい人だけ見てねということだったのかもしれませんが、表示された情報はすべて見たいと思ってしまうのがゲーマーの性。どっちも見たいのに、でも2つの異なる文章を同時に理解しながらムービーを見るのは中々難しい。
そうこうしているうちに、歌詞も台詞もよく頭に入ってこないままエンディングが過ぎ去っていきました。仕方なく、Youtube で他人のプレイ動画でもう一度エンディングを見直しました。
混乱するので歌詞は表示しなくてよかったんじゃないかと思いつつ、でも歌詞も見たいのは確かなので、代案も思い浮かばず、解決が難しい問題だなと思いました。
総括
以上が私がゼノブレイド3を通して、音楽に関して感じたあれこれでした。
- 物語の軸となる笛を中心として、それでいて個性豊かな楽曲の数々は魅力的
- 過去作の神アレンジが聴けたのが最高
- 楽曲の使い方に関してはいくつか問題を感じた
- フィールドBGMをぶった切るメニュー専用BGM
- バトルの雰囲気を一色に変えてしまうチェインアタック専用BGM
- 同じ感動BGMの乱用、もしくはバリエーション不足によるBGM使い回し感
- 会話手動スキップイベントでの起伏の激しいBGMの採用による違和感
- 歌詞と台詞の字幕の同時表示による混乱
細かいところで気になる点はいくつかありましたが、全体を通して音楽自体のクオリティは高くて素晴らしかったです。笛を中心とした壮大な楽曲の数々は何度でも聴いていられます。音楽に関してだけでも素人の私がこれだけ書きたいことがあるというのは、ゼノブレイド3の音楽が魅力的であるが故だと思います。
また、時間があればストーリー、キャラクター、グラフィック、システムやUI等についても感想を書きたいと思います。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。